犬知恵

我が家のシンタはこの春でやって来て丸四年。
歳は当然の如く満四歳となる。

犬も馬も一年で取られる歳は人の四倍。
満年齢を考えると二十歳前後の若者という事となる。

平成四年と六年に生まれたわが娘たちは、21と19。
そしてシンタはそれと同世代という事だ。

長女と次女は妻が生んだのだが、
シンタの母親は今どこで何をしているのか、それは不明だ。

が、
彼は自分の母親はこの女だと信じ込み、
そして我が家のボスもまたこの方だと思っているに違いない。
（ちなみに二人の人間たちも同様である）

そして、
人間どもが家に寄り付かない事をいい事に、
妻はシンタを猫っ可愛がりをするこの頃でもある。

シンタも犬知恵なのだろ、
そのツボをつかんでいるようで、妙に甘え顔をするのが上手。
飼い主に似るというのは本当のようでもある。

という事で人様のそれよりもはるかに高価なカッパを購入。

これで雨の日も安心と相成った。

しかし、
等の彼は、
このカッパが大嫌い、
それを着せられての記念撮影に顔を引き攣らせた。

そして、
先日の雨。
そのカッパの出番に
彼は拘禁をされると怯え、
逃げ出す始末。
挙句には、自分に向かってのシャウト。

思わず首根っこを掴んで黙らせる。

その後の彼は、
観ての通り、
拘禁装束を着せられたレクター博士の如く、
吠えられもせず、
恨めしそうな顔でNo２を睨み付ける。


まさか、
これが高じてＭになってしまったら、
そこも飼い主に似る事となるのだが、
今のところその気配は欠片もない。